世界一の国土面積をもつロシアの真ん中に位置する街「イルクーツク(Irkutsk)」
世界最古の湖で古代湖として有名な、世界遺産にも登録されている湖「バイカル湖」の南西岸近くに位置し、ロシアのシベリア地方南部にある街イルクーツク出身のタラソワ アンナです。日本の方にはモンゴルの真上にある街と説明した方がわかりやすいですか?それとも、ロシアの首都モスクワからロシアの極東ウラジオストックまでを横断する世界一長い鉄道「シベリア鉄道」の中間地点にある街と説明した方がわかりやすいですか?「ロシア」と聞くと遠い国のように感じるかもしれませんが、イルクーツクと日本との間の時差はたったの1時間!(日本が1時間早い)、それに現在は休航していますが、2006年頃まではイルクーツクから新潟までの直行便があったので私が学生の頃の「日本」は近い国というイメージがありました。
日本への留学を決めた理由
日本への留学を決めた理由は、ロシアで通っていた大学の授業で、世界に例を見ない日本の戦後高度経済成長について学び、興味を持ったことがきっかけです。ロシアの大学では、日本経済だけではなく、世界中の経済について様々な角度から仮説をたて、研究しましたが、やはりその中でも1番興味をもって、もっと詳しく学びたいと思ったのが戦後の日本経済でした。その後、ロシアの大学を卒業し、県費留学生として日本語と日本経済について学ぶため新潟大学へ留学。2000年には大学院へ進学し、2002年に博士課程を修了しました。現在は日本の永住権を取得し東京で働いています。
日本で驚いたこと:同じ豪雪地帯なのに、新潟にはセントラルヒーティングがない!?
日本(新潟)へ留学して1番驚いたこと。それは、同じ豪雪地帯なのに、新潟にはセントラルヒーティングという暖房システムが普及していないということです。たぶん、日本人でセントラルヒーティングを知っている人は、海外に住んだ経験がある人か、北海道に住んでいる人くらいですよね。日本へ留学する前の私の日本に対するイメージは、高度経済成長を遂げた国というイメージだったのに、ロシアではメジャーだったセントラルヒーティングではなく、ガスヒーターを使用しているという事実には本当にカルチャーショックを受けました。
更に、留学当初はガスヒーターの使い方がわからず、寒さに耐えながら生活をしなければならなかったり、ロシアでは道路清掃員が雪を処理してくれるのに対し、新潟では自分で雪を処理しなければならなかったり・・・まさに狐につままれたような感覚とはこのことですよね。国土面積の約半分が豪雪地帯で、他の国では住むのを避ける降雪地域に世界で最も多くの人が住んでいて、世界最深の積雪記録を持っている国なのに・・・なんというか、なぜもっと便利な方法にかえないのだろうと不思議でした。(1990年代頃の話)
でも、雪かきを通じて地元の人達とコミュニケーションを取ることが出来たのはいい思い出ですね。あと、こたつ!こたつの中に皆で入って身体をあたためるという日本文化を体験できたことは、イメージしていた日本文化そのものだったので感動し、日本文化が大好きになりました。
本で興味をもったもの:お米
ロシアの主食はパンですが、実はロシアでもお米を食べる習慣があります。しかし、ロシアで食べることのできるお米はパサパサしているので、新潟で初めてお米を食べた時は、あまりの美味しさに驚き感動しました。新潟のお米はしっとりとしていて本当に美味しいですよね。留学をしている間、日本国内様々な場所へ旅行をし、日本各地のお米を食べてみましたが、やはり新潟のお米が1番美味しいと思います。新潟に対しては留学前からイタリアのように何を食べても美味しい街、というイメージがありましたが、焼き魚、味噌汁、梅干し、全て想像以上 の美味しさだったので、日本へ留学して本当に良かったと感じました。ただ・・・1つだけ。日本で食べた食材は最初から殆ど抵抗なく食べることができたのですが、梅干しだけは、しょっぱくて慣れるまでに1カ月かかりました(笑)
日本で興味をもったもの:デパート
開店や閉店直後の日本のデパートは凄いですよね。エントランスや店頭に従業員の方が綺麗に整列して、丁寧な挨拶をするじゃないですか。 あれだけ丁寧な挨拶をされると少し照れくさい気持ちになりますが、普段生活をしていて、あそこまで丁寧な挨拶をされることがないので、お店へ入る時も、お店から出る時も、幸せな気持ちになります。
あと、デパートのレストランフロア!!ロシアのデパートにも同じようにレストランフロアがありますが、日本はお寿司、トンカツ、天ぷら、焼肉、ラーメンなどの日本料理だけではなく、イタリア料理、フランス料理、中華料理と様々な種類のレストランが揃っていて選び放題ですよね。レストランフロアが充実しすぎているので少し迷い疲れてしまう事もありますが(笑)ロシア以外の国でもここまで充実したレストランフロアは見たことがないので、レストランフロアが充実しているというのも日本文化の1つかもしれませんね。
あとは・・・そう!デパートの屋上!!夏になるとデパートの屋上でビアガーデンが開催されますよね。ロシアでは安全上の理由からデパートの屋上へは立ち入りが禁止にされているので、屋上スペースへあがれるだけではなく、用意された席でお酒を飲んだり食事ができたりするのには驚きました。その他、ゆっくり休憩することができる庭園や子供向けの遊園地など、日本のデパートでは、屋上スペースを活用して様々な催しものが開催されているのでデパートの屋上を巡るだけでも十分楽しむことが出来ます。きっと日本以外の国で屋上へ上がって色々体験できるような催し物が開催されている国は少ないと思うので、これから日本へ訪れる人達にも教えてあげようと思います。