私が日本で興味をもったもの、それは新江東清掃工場
ブータン出身のツェリン ソナム デキです。(インタビュー2回目の登場)私が日本で興味を持ったこと、それは、東京都 夢の島にある新江東清掃工場です。理由は、実際に見学へ行った際、この焼却施設は本当に効率的でハイテクだなと感じ、私の国にもあったらいいなと思ったからなのですが、そのことをお話する前に、私の故郷ブータンのゴミ問題についてお話したいと思います。
国土面積は九州と同じなのに、国中にゴミが溢れてしまった理由
実は1970年代頃までのブータンは、一貫した鎖国政策を採っていました。理由は巨大な影響力をもつ隣国から(北は中国、南はインド)自分たちの文化や思想を守るためだったのですが、その頃は生ごみの処理だけをおこなえばよかったので、各家庭でゴミを埋めたり燃やしたりしていました。
しかし、1974年の開国後はメディアの影響などもあり、観光客が増え、国中が一気に近代化しました。新しいものが沢山入ってきたのはいいことでしたが、ゴミの処理方法は近代化せず、海外から持ち込まれたビニール製品やプラスティック製品を開国前と同じ方法で処理していたため、処理しきれなくなったプラスティックゴミは道端や空き地に放置されてしまいました。
近年では、ゴミを「生ごみ」と「それ以外のゴミ」の2種類に分別するように決まったのですが、正直…誰も守っている様子がありません。また、先程も話したようにブータンでは全てのゴミを燃やす習慣が残っているため、小さい都市や村では現在でも分別せずに自分達でゴミを燃やしているところもあります。ブータンと言えば「幸せの国」「自然を大切にしている国」といったイメージを持っている人が多いように感じますが、実際は真逆のような状態です。
「ゴミ=再利用できない」っというイメージだった私の思考を変えた日本
そんなブータンで育ったので、私も日本へ来るまでは「ゴミ=再利用できないもの」というイメージがありました。しかし、日本へ来て見ると街の中にゴミ箱があまり設置されていないのにもかかわらず、街の中でゴミを見かけることがありません。国土面積ははるかにブータンより広いはずなのにどうしてゴミが溢れていないの?日本は何故綺麗なの?ゴミの分別方法は?ゴミの処理方法は?そう思った私は大学入学の際に提出するレポートの資料集めも兼ねて、ゴミを埋め立てて造った人工島、東京都江東区の夢の島へ行ってみることにしました。
ゴミを埋め立てて造った人工島、夢の島にある新江東清掃工場
元々はゴミ処分場として埋め立てられたわけではなく、国際空港をつくる予定で埋め立てていた場所が途中で中止となり放置。それから数年後にゴミ処理場となったそうなのですが、当時は現在のブータン同様ゴミをただ集めて埋め立てただけだったそうです。「日本の高度成長に伴うゴミの増加で処理しきれなくなったゴミが溢れ、悪臭と大量発生したハエが飛び回る地獄絵図のような公害の島」っと、書かれた記事を見つけました。まるで現在のブータンのような話ですよね。
新江東清掃工場について詳しく話はじめちゃうと、インタビュー時間を超えてしまうので今回は感想だけ話しますが、新江東清掃工場は効率的でハイテクですよ!!ブータンにもあったらいいのにな・・・この新江東清掃工場では、映像を使ってごみの処理についてわかりやすく説明してくれたり、工場の人の案内で工場見学をできたり、質問することもできるので本当オススメです。(※現在はコロナの影響で、工場見学を中止)実際に新江東清掃工場を見学するまでは、正直こんなにシステムがしっかりしているとは思っていなかったので、見るもの全てが衝撃的で、ゴミに対しての意識が本当に変わりました。
今年(22年)9月の大学卒業後はアメリカへと行く予定ですが、残りの日本生活で、もっと日本のハイクオリティな技術を学ぼうと思います。